■極太麺のなみえ焼きそば
「なみえ焼そば」は福島県双葉郡浪江町のご当地グルメで、第8回B-1グランプリで、「浪江焼麺太国」が見事ゴールドグランプリを獲得しています。
Covid-19の緊急事態宣言が解除され、都道府県間の移動も緩和されたということで、先日、福島県浪江町を訪れてみました。
Webによると、なみえ焼きそばは、役場のそばにある「まち・なみ・まるしぇ」で食べることができるようです。
茨城県南部から国道6号線を走ること4時間、ちょうどお昼時に浪江町役場に到着。つつじがきれいです。
まち・なみ・まるしぇは役場のすぐ隣にあります。飲食店や売店など10店舗ほどが入る仮設店舗です。
こちらがなみえ焼そばを食べることができる「浪江焼麺太国」。残念ながらお休み…
仕方ないので隣の売店の方に、どこかなみえ焼そばを食べることができる店が他にないか尋ねてみると、駅前の喫茶店が出してくれるということで、わざわざ電話をかけて聞いてくれました。が、この店も新型コロナウイルス感染症予防のため、店舗営業を自粛しているとのこと。
ということで、この方の親切に感謝して、お店にあった自宅でできるなみえ焼そばのセットと、焼きそばの横にある七味にんにくを購入。麺と同僚の170gのもやしとお肉を少々入れ、炒めた後に麺を入れ、ソースに絡めてできあがり。七味にんにくは焼きそばの上からかけて食べるのがよいそうです。
せっかくなのでお隣りの飲食店で海鮮丼をいただきます。店長お勧め盛りで1,300円くらいだったかと。新鮮な海の幸をおいしくいただきました。
■いちえふ
国道6号線を浪江町に向けて北上すると、途中、南から順に広野町、楢葉町、富岡町、大熊町、双葉町を通過します。
これらの町は、2011年の東日本大震災の時、福島第一原子力発電所が津波の被害を受けた際、拡散された放射性物質による大きな被害を受けて住民が避難をした地区。地震発生から9年、今もなお帰還困難区域が設定されています。
これらの町を南北に横切る常磐自動車道や国道6号線は通常通り通行できるのですが、大熊町や双葉町を通ると、道路の両側に並ぶ家々の前に築かれた大きなバリケードを目にします。
かつて賑わいを見せていたであろう商業施設は、地震から9年もの間放置されて痛みが激しく、その痛々しい姿は、バリケードの風景と併せてゴーストタウンと化した姿をまざまざと見せつけます。
今年になって、JR常磐線の浪江と富岡の間が開通しました。実際に開通した双葉駅を訪れてみましたが、立派な駅舎とは裏腹に、周囲は荒れ果て、人がほとんどいないという現実は、放射性物質の被害の恐ろしさを改めて教えてくれました。
原子力発電所の事故の大きさと、この地区に暮らしていた住民の方々の苦悩を改めて想い、そして原子力発電所の必要性や原子力行政についても、深く考えさせられます。
「いちえふ」とは、福島原子力発電所のこと。このいちえふでは、現在も日々、懸命の復旧作業=解体作業が行われています。
その現実を描いた「いちえふ」というルポルタージュ漫画があります。事故から時間が経過し、最近は新型コロナウイルス(Covid-19)一色の報道で、いちえふへの関心が薄れつつありますが、実際に作業員として働いていた作者が描く世界を読むと、いちえふの現実を思い知らされます。
この作品が書かれた時と今とでは状況が変わっているかと思いますが、自分の目で帰還困難区域を見て、そして、この作品を読むと、いちえふの事故は、単に東京電力と住民たちの問題だけではなく、日本国民が背負った大きな問題ととらえ、国民皆が関心を向けていくべき問題であることに気づきます。
初めは「なみえ焼きそばが食べてみたい」という単純な動機で浪江町を訪れたのですが、道中の景色によって、今の福島の現実を改めて感じ、そして考えさせられた旅になりました。
<付記>
本当は帰還困難区域の写真を撮影してアップしようかとも思ったのですが、興味本位でバシバシ写真を撮っている姿を見せるのもどうかと思い、今回は写真撮影を遠慮させていただきました。
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